紙面デモ(意見広告)運動 趣意書
東日本大震災からわずか12年で、福島原発事故など無かったかのような動きが強まっています。岸田政権は「エネルギー源の確保」、「CO2削減」あるいは「電気料金の抑制」を口実に、原発の再稼働促進、運転期間延長、そして新増設などを昨年突如打ち出し、原発回帰を鮮明にしました。しかし、原発のコストは決して安くはなく、地球温暖化対策にも貢献しません。一方で事故があったときの被害は甚大で広範囲に渡ることは福島原発事故で明らかになった通りであり、また数万年も管理しなければならない使用済核燃料(核のゴミ)の処分方法も未だに決まっていません。
こうした中、東北電力は来年2024年2月に女川原発2号機を再稼働すると公表しています。岸田政権の原発推進のかけ声を受け、12年以上動いていない原発が動かされようとしています。しかし女川原発は、事故を起こした福島原発と同じ古い型の原発であり、しかも何度も基準地震動を超える地震に見舞われた「被災原発」です。現在の基準地震動である1000ガルに耐えられる保証はありませんし、1000ガルを超える地震が来ない保証もありません。実際、規制委員会が「合格」を出した後に、放射能を閉じ込める格納容器の一部である圧力抑制室が1000ガルに耐えられないことが判明し、現在「これまでに経験のない」(東北電力)耐震補強工事に踏み切っています。さらに、女川原発の避難計画が破綻していることも、石巻市民が訴えた裁判の中で、誰の目にも明らかになりました(判決は今年5月24日)。
この女川原発再稼働に対し、「県民投票」を求める県民の11万筆の署名を無視して、村井嘉浩宮城県知事は2020年11月に早々と「地元同意」に踏み切りました。さらに今年2月には、河北新報の世論調査の結果を受けて、「原発再稼働への県民の理解が深まっていることは望ましいことだ」と述べました。しかし、その世論調査の結果をしっかりと見れば、今でも多くの宮城県民が女川原発再稼働に対して不安や疑問を抱き、そして反対の意思を持っていることは明らかです。
私たちは、この多くの県民の意思を目に見える形にすることが重要であると考え、これまでも集会やデモ、あるいは街宣活動など行ってきましたが、今回、さらに多くの方の参加でアピールできる方法として、「河北新報の1ページ全面を使ってカラーで『意見広告』を出そう」との思いに至りました。賛同された方一人一人のお名前を紙面に掲載し、「私たちは決して女川原発の再稼働を認めていない」という思いを可視化する「紙面デモ」として位置づけ、取組みたいと考えております。
これは同時に、岸田政権の原発回帰に対する異議申し立てであると共に、今でも放射能汚染の被害に苦しむ、福島を始めとする人々への連帯の気持ちを込めた取組みとなります。
ぜひ多くの宮城県民のみなさん、さらに全国のみなさんに、この「紙面デモ」=意見広告運動にご賛同・ご協力いただきたく、心よりお願い致します。ともに女川原発再稼働反対の声を、紙面を通じてあげていきましょう。
2023年5月
ストップ女川原発再稼働 紙面デモ(意見広告)運動
発起人 篠原弘典 多々良哲 半田正樹